大道芸イベントで有名な横浜の野毛を歩いていたらジャズのビートが聞こえてきた。入り口のドアを開け放っている喫茶店があって「モダンジャズcoffeeちぐさ」という看板が出ている。横浜に戦前からやっている有名なジャズ喫茶があるという話は聞いたことがあった。確か少し前に店主が亡くなって閉店したのをファンが引き継いで再開したという記事を新聞で読んだ気がする。「ちぐさ」という喫茶店らしくない店名が記憶に残っていた。開いているドアから中をうかがうと、中高年の男性客が数人、なにやらテーブルの端をたたいてリズムをとったりしているではないか。やや引いたが、ジャズ喫茶を体験したことがないのでいい機会と思って入店した。
インテリアはちょっと昭和の薫りが残る純喫茶という風情の、それはそれで今となっては稀少な空間であるが、それより驚いたのは家具のレイアウトが独特で、テーブルの片方にしか椅子がない。つまり小学校の教室みたいなことになっていて、座るといやでも前方を向くことになる。その前方の壁際には先生の代わりに巨大なスピーカーが2つ並んで立っていて、かなりの音量を鳴らしている。数人の男性客はみな無言でその音に身をゆだねている。そして指や足がタクタク動いている。隣の客が分厚い2冊のメニューを繰っているのでずいぶんたくさんメニューがあるようだと思ってよく見たら、それはレコードタイトルのファイルだった(写真でDJカウンタの下に写っているもの)。
これまた中高年のウエイターがオーダーを取りにきたのだが、前にラジオ番組かなにかで昔ジャズ喫茶ではおしゃべりは禁止だった、と 言っていたので隣の客に怒られないように口パクで(ホットコーヒー・・・)と頼んだら「ホットコーヒーひとつ!」と普通に注文を通していて少し安心した。
植草甚一に「モダンジャズの勉強をしよう」という本もあるが、教室みたいな喫茶店に座って、やはりジャズはお勉強するものらしい、と思った。
ガマガエルおこされる
4月になりました。事務所の庭を掃除していたらガマガエルが石の下に隠れていました。ガマガエルは正しくはヒキガエルというそうですが、「ガマくんとカエルくん」という絵本シリーズがあるくらいだから、ガマガエルと呼ばせてもらいます。財布のがま口だってガマガエルの口の形に似ていることからそう呼ぶと思うし、ガマの油売りもヒキの油売りとは言わない。大きな石の下の砂の中に埋まって寝ていたところを起こされて、まだ眠そうな目をしている。眠くなくても眠そうな目だが。
津波避難シミュレーション動画
3.11から5年の節目ということで、このところ震災関連の報道が多い。インタビュー番組などでよく言われているのが震災のことを「忘れないで」というメッセージである。忘れないことがなぜ大切なのか。それは一つには忘れないことが東北の復興を支える力になるということ、もう一つは東北以外の地域でも災害に対する防災意識を高めることにつながるからだろう。
鎌倉も海があるので当然大地震が起きれば津波が来る可能性がある。鎌倉市のHPで「津波避難シミュレーション動画」を見ることができる。(https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/sougoubousai/tsunami_simulation.html )
地震発生直後からの、道路上を避難者が逃げていく様子が動画で表現されている。地震の型や発生時刻の異なる二つのパターンが用意されているが、いずれも浸水域にいる人が全員避難するのに1時間近くかかる予想になっている。ところが、昨年発表された神奈川県の最新の予測によると「相模トラフ海溝型地震」が発生した場合、鎌倉の由比ガ浜には13mの津波が14分で、七里ヶ浜には14.5mの津波が10分で到達するという。シミュレーション動画の地震発生後10分のシーン(下図)では多くの人がまだ避難の途中である。青のドットが一般人、赤のドットが高齢者や要介護者を示している。みんな高台にむかって進んでいるところだ。そこにこの地図の下半分くらいを津波が襲う。
これはまずい、と誰もが感じるだろう。つまりこの動画は津波で多くの人的被害が出ることを鎌倉市のHPで広報しているということで、いやが上にも防災意識が高まる。
じつはこのシミュレーション動画、3年前の2013年につくられたもので、そのときの県の津波予測では津波が来るまでに50分ほどかかるとされていた。だからこの動画では地震発生後50分のシーンではじめて津波が到達する(そのとき人はあらかた避難し終わっている)。それが昨年になって予測が10分に早まったわけだ。
鎌倉市のHPによると、昨年12月に市は新たに津波シミュレーション動画を作成するための公募型プロポーザルを行って業者を選定したとある。今月末が納期である。よく見ると「津波避難シミュレーション動画」ではなく、「津波シミュレーション動画」であり、名称から「避難」がなくなっている。
プロポーザルの質疑回答によると、「14メートル級」「到達時間10分程度」の想定で制作するよう指示されている。つまり県の最新の予測と齟齬がないように動画を作り直すという意図だと考えられる。さて、その動画には人の避難状況を示す何らかの情報が入るだろうか?いや、入らないだろう。だって「津波シミュレーション動画」なんだから。
そして、その新しい動画が4月に市のHPにアップされたとき、これまでの「津波避難シミュレーション動画」はどうなるのだろうか。県の新しい予測に即した新しいシミュレーション動画と入れ替えました、ということになる可能性が高い。
だから、私たちは今の動画の地震発生後10分のシーンを心に刻んでおこう。忘れないで。
樹齢53年のヒノキ
昨年の春から参加している「緑のレンジャー・シニア講座」の実習で、鎌倉の源氏山公園にある一本のヒノキを切り倒した。高さは15メートルくらいあり、胴回りもなかなか太い木だったので、数人が交代しながらノコギリを引き、最後はロープで引っ張って倒した。
この木を製材すると何本くらいの柱が取れるだろうか。直径45センチくらいだったから4寸角(120mm)を取ろうとすると4本がいいところか、長さを三等分すると5mものが12本。真四角の2階建ての家を建てるとして、3間×3間の9坪ハウスの柱も12本。もちろん土台や梁も必要だが、柱だけならこの切り倒したヒノキでまかなえるわけだ。当日は切ったあと、運びやすい2mくらいの長さに玉切りして邪魔にならないところに放置した。あとは土に返るのを気長に待つのがこの木の行く末だ。数十年前に建材となるべく植えられたはずだが、本来の使命を全うできないことになった。もしこの木を無償でもらったとしても、建材にするには運搬費、乾燥費、製材費がかかって、材木屋で買った方が安いということになりかねない。自分の車で運べる分だけせいぜいストーブの薪にするくらいが損のない使い道かもしれない。
そんなことを思いながらこの写真を眺めていると年輪に気づいた。このヒノキは樹齢何年なんだろう。1,2,3・・・・・・53。なに!もう一度数えた。やはり53本ある。
私とおない年じゃないか。 このヒノキは53年の樹齢を重ねて、小さな家一軒分の柱になる太さになった。ヒノキとしてやるべきことはやってきたと言えるだろう。同じ年に生まれた私のほうはどうだろう。ニンゲンとしてやるべきことをやってこれたかな。
黄金町の無国籍レストラン
横浜の黄金町にあるJack&Bettyという名画座に1960年代につくられたグルジアの映画を見に行った。放浪の画家の話で、静謐な詩情あふれる美しい映画だった。映画を見た後、伊勢佐木町の方に歩いていると、小さなレストランらしい店の前を通りかかった。看板を見ると不思議な文字が書いてある。何語だろう?とおもってよく見ると、それは看板をくっつけてあった接着剤の跡らしい。 むむっ!これぞ作為のないわび芸術の至高である。それはともかく、この空き店舗の風景になぜか惹かれた。白い横長の壁に横長の窓。壁の上にレンガ張りの庇。壁の手前に水平の植え込み。それら3つの横長の要素と対照的に垂直に立つ一本の街路樹。ここまではいい。しかし左に立っている緑色の街灯の柱がそぐわない。おしい。
そんなことを思ったのも、映画に出てきた原っぱにぽつんと店の建っているシーンが印象的だったからかもしれない。
カマキンの最期
この建物のことはいつもキンビと呼んでいて、カマキンと呼ばれているとは知らなかった。2年前にこの美術館をテーマにしてワークショップを企画したときに、学芸員の方からその呼び方を初めて聞いたと思う。確かに近代美術館は各地にあるので、鎌倉にある神奈川県立近代美術館鎌倉館を特定するのにカマをつけたい気持ちはわからないではない。
しかし、この建物は日本で最初に建てられた近代美術館ではなかったか。つまり建ったときは日本で近代美術館と呼べる施設はこの建物だけで、キンビといえばここのことだったわけだ。それが後年、他のキンビと区別するためにカマキンになったのだろう。
シンケルという18世紀ドイツの建築家の代表作にアルテス・ムゼウムという美術館がある。 見事な列柱を持つポーチコで有名な建物だが、なぜその名前なのか最近知った。ドイツ語でアルテスとは古いという意味で、シンケルの美術館ができたあとに別の敷地に新しい美術館が建てられて、シンケルのは「古い方の美術館」と呼ばれることになったそうだ。カマキンも同じリクツなわけだ。
だがカマキンという呼び方はもう必要なくなる。来年1月末をもって美術館としての使用は終わるからだ。幸い多くの人たちの努力によって建物は保存されることがほぼ決まったようだが、次の用途はまだわからないし、耐震補強を含む大幅な改修工事が見込まれている。
カマキンという名前と美術館としての空間の最期はあと2ヶ月と迫っている。
たためる椅子の座り心地
近所の商店街が主催する無料のコンサートに出かけた。無料でも出演者はプロのベテランぞろいで、楽しいコンサートだった。
会場に着いたのが開演後だったので後ろの方の空いている席に座った。椅子は固定ではなく、並べているものだった。しばらく聴いていたところ、椅子の座り心地が良いことに気づいた。木の枠に布のカバーが掛けてあるようだ。もしや?と思って休憩時間に照明がついてからよく見てみるとやはり建築家の吉村順三らが設計した有名な「たためる椅子」だった。折りたたみ式であるが座り心地のよさに定評がある椅子で、一度座ってみたいと思っていた作品である。
この会場は鎌倉女子大学の施設なのだが、建物のデザインも凝っていて周囲の環境になじんだ外観と木のぬくもりを感じる内装がすばらしい。備品である椅子もパイプ椅子でなく建物のデザインに合わせた質の高いものを選んでいて、音と一緒に空間も楽しめた一夜だった。
くるくる
今朝、事務所まで歩いてくる途中、開店前の民家風食堂の店先に子供服や本がぱらぱらと並べてあるのが目に入った。張り紙にくるくるです、ご自由にお持ちください、の案内。くるくるという物々交換活動のことは以前から知っていたがこんな路地で野菜の無人販売みたいにやっているとは知らなかった。古本の後ろに巻いた図面みたいなものがあり、よくみると和紙のすだれだった。事務所の日除けにさせてもらおうと何か交換できるものはないかとカバンをさぐったが手帳と弁当しかない。本も持っていたが今週の授業で使うのでまだくるくるできない。申し訳ないが一方的にいただくことにした。こんどは何かいらなくなったものを持っていこうと思う。鎌倉ではこんなエコ活動をそこここでやっていて、それがひとつの鎌倉生活のスタイルになっているようだ。
鎌倉らしさコンペ
「鎌倉をよく知る建築家による鎌倉らしさコンペ」(http://www.nengo-renovation.jp/kamakura/)という指名コンペがありました。敷地は実在しますが、プログラムは住宅であることだけが決められて他の条件は自由なアイデアコンペです。そこに「堂楽の家」という案を出しました。鎌倉らしさとはなにか。いつも考えていることですが、あらためて問い直してみました。
『古都のおもかげは寺社に残っている。この敷地も宝戒寺の境内であったという。そこに受け継がれてきたお堂のような、おおらかな住まいで楽しむ自然と一体となった暮らし。
ここに鎌倉らしさがある。』
上は応募案の設計説明文からの引用です。古都鎌倉というイメージはみんなが共有するものです。もう少し詳しく考えると、鎌倉らしさは、ふたつの要素から成り立っていると思います。ひとつはコンテクスト、これはまち並みから抽出されるスタイルのようなものです。もうひとつはパブリックイメージ、これは人それぞれが鎌倉に対して持っているイメージの平均値です。そこに実際にあるまち並みと、みんなの頭の中にあるイメージが組み合わさって、その町らしさが定義されているのだと思います。下の写真が敷地周囲のまちなみです。
『まち並みの鎌倉らしさ
地盤の高低差を石積みの擁壁で保全した上にサンゴジュかマサキの生垣で道からの視線を遮る。その後ろに季節を彩る大小の立木を配し、建物は軒のあたりが垣間見えているのが鎌倉の屋敷のたたずまいである。玄関ポーチまで長めのスロープで引きを取ることで門扉をなくし、来客を和やかに迎え入れる。自動車は半地下のガレージに入れて道から隠す。風の通るガレージは薪置き場や工作室としても重宝する。』
『暮らしの鎌倉らしさ
涼風が通り抜け、鳥のさえずりやひなたぼっこを楽しめる回廊が建物の四方に巡らされる。深い庇にまもられたこの中間領域は内外を結びつけ、生活の楽しみの幅を広げる。
内部は吹き抜けのリビングとその周囲の個室からなる。天井近くの高窓は冬は陽光を導き、夏は暖気を排出し、いわば自然の空調設備となる。』
まち並みの鎌倉らしさはコンテクストから考え、暮らしの鎌倉らしさはパブリックイメージから考えて設計案をつくりました。残念ながら1位は逃しましたが、鎌倉らしさを考え直すいい機会だったと思います。
天空の保育園
学生時代に課題で描かされたポスターカラーによる透視図のようですが、実はパソコンで加工した模型写真なんです。当事務所が設計した松戸市の駅前繁華街に建つ民間保育園で、この11月開園を目指して突貫工事中です。とにかく敷地条件が厳しく、4階+ペントハウスの建物を敷地目一杯に建てます。バルコニーと屋上が庭代わりなので、安全性を重視して板塀風のフェンスで囲みます。5階の高さにある屋上園庭はパーゴラを兼ねたソーラーパネルで覆われていて、これで夏の日射を緩和します。このソーラーパネルはブラインドのように回転する機構を持っていて、太陽高度に合わせて好きな角度に設定できます。もともと畑のソーラーシェアリングのために開発されたものですが、初めて建築に応用します。
本当は広い園庭のある平屋の保育園がこどもの育ちにとっては理想ですが、昨今の保育園不足と通園の利便性から、今後狭小敷地での高層保育園計画がますます増えると思います。昨日も現場の看板をじーっと見ている赤ちゃんづれのママがいました。
そうそう、この新しい保育園で働いてくれる保育士さんも絶賛募集中です(kibounotakara@iaa.itkeeper.ne.jpまで)。
津波避難タワー見学
高知県黒潮町に行ってきました。この町は太平洋に面していて南海トラフ地震が来たら28mの津波が襲来すると想定されています。日本で最も高い津波の想定です。この写真はその町の津波避難タワーです。その津波想定が出てから町の何カ所かに建てられ、今後も建設する計画が進んでいます。町民のタワーに対する期待は大きく、町を出て行った町民がタワーがあるならと戻ってきた例もあるそうです。しかしこの見た目はなんとかならないのでしょうか。東北で進められている防潮堤と同じで、津波対策の前では景観については問答無用的な役所の方針にだれも文句を言えないのでしょうか。
そう思っていたら、同じ町内に小高い丘の鎮守の森に階段をとりつけた簡易避難場所がありました。高さは十分ではないにしても見た目はずっと優しい。鎌倉にはこんな景観配慮型津波避難タワーをつくりたいですね。
まめまき
保育園の節分のまめまきで鬼の役を引き受けました。この保育園では単なる季節のイベントではなくて、鬼はほんとうにいるんだ、と子どもたちに思わせるように段取りを考えてまめまきをします。子どもたちは数日前から絵本などで鬼の伝説を吹き込まれています。子どもたちが朝のお遊戯を終えて「おにはーそとー!」とやり始めたとき、赤鬼と青鬼が突然保育室に乱入してきます。本気でこわがって逃げまどう子、先生にしがみついてフリーズする子。なかには勇敢にまめをぶつけてくる年長さんもいますが、トイレに逃げ込んで出てこない年長さんもたくさんいたらしい。
鬼のコスチュームは、ダウンジャケットのうえから全身タイツを着てズラと面をつけます。毛皮の腰巻きをつけたのですが、なまはげ風のミノがあったのでそれも巻いてみました。赤鬼がたいこ、青鬼が金棒をふりかざして子どもたちを追い回しました。
子どもたちはちゃんと怖がってくれたようです。小さい子どもを怖がらせることはよくないという考えもあるようですが、この園では幼児期の心の発達についてよく研究した上で子どもたちの自然への畏怖、勇気、友達同士のきずな、先生への信頼などを培うためにこの催しを毎年行っています。
だけど先生たち、ちょっとウケすぎじゃないですか。
里山の出来事
あけましておめでとうございます。
昨年は広島で大きな土砂災害がありましたが、そのあとに来た台風18号では我が家の裏山でも土砂崩れが発生しました。風雨の最中、側溝の水嵩を見に家の裏に回ったとき山の上の方で「ばき!」という音が。次の瞬間、濁流が流れ下ってくるのが見えました。あわてて庭の方に逃げて振り返ると裏口前からテラスまで泥水で埋まっていました。漬物石大の岩もころがっています。ぞーっとしました。
数日後、裏山に登ってみると、太さ40センチほどもある木が何本も折り重なって倒れています。だれも手入れしていない山なので荒れ放題です。
うちの山ではありませんが、里山としての利用と手入れの必要性を痛感した出来事でした。「里山資本主義」の実践がわが人生の終盤のライフスタイルになるかもしれません。
今年もよろしくお願いします。
鎌倉の建築士仕事展2014
こどもは今を生きる
こどもは今を生きる 橋本志津江
おひさま組は生まれてまだ1年足らずの小さなこども達ですが意欲があり、意志があり、自分のやりたいことに向かっていきます。大人の考えで危ないなどと思い、やる前に止めると大声を張りあげてそっくり返ったり泣いたり、言葉を話さなくてもしっかり拒否し、自分の思いを身体中で表現します。見守っていると手や足で高さを計り、やめたりこけたりしますが、自分の力を計り知っていくのです。
ようやく動き出したこどもでも瞳を輝かせハイハイや歩行で向かっていきます。ハイハイのこどもでも泥だらけになり、幼児棟まで行ったりずりバイでも隣のクラスに行きイスにはい登ったり多少こけても転んでも必死に向かっていく姿に感動します。
保育士はこどもの身体が動きやすくなるようにマッサージや体操をし、汚れたパンツを替え、こどもと一緒に笑顔で歌いリズムをするとこどもは寄って来て一緒に遊びます。よく見ています。模倣が始まると雑巾がけをしたり自分より小さな子をあやしたり“おいで”と両手を差し出します。おもちゃの取り合い、場所の取り合いも始まりますが、こども同士の関わり合いも増えていきます。こどもは身体が元気で安心できれば自分の力を出し、自ら育っていくのです。
おひさま組のこども達だけではありません。少し大きくなると、遊びに夢中になると寡黙になり黙々と遊び込みます。身体は力がついてくると中から力がわき出てくるように全身を使う遊び、追いかけっこ、鬼ごっこ、木登り、棒登りなど高いところが好きになります。どのクラスも水、土、虫、花などの自然が大好きです。
年長になると天の川づくりや雑巾縫い、側転、なわとびなどすぐに出来ないものに挑戦し、むずかしい事、大変な事に自分の力と知恵をそそぎ困難な事をのり越えようとします。すぐに出来ない事、うまくいかない事、失敗する事が必要なのです。“何度もやれば” ”あきらめなければ” ”努力すれば” 出来る事を身体で覚えていくのです。大人は失敗しないように効率よく上手に出来るように教えたりしがちですが、赤ちゃんでも歩き始めは何度も転んでは何度も何度も立ち上がり歩行を完成するのです。こどもには「転ばぬ先の杖」はいりません。こどもにはやりたいという意欲があれば自分のものにする力を発揮するのです。その為には誰かと比べたり大人の価値観を押しつけたりせずこどもの力を信じ見守ること、こども達が心地よく過ごせる環境づくり(物的、人的)が一番必要です。大人は未来のことを考えこどもにこうしてあげたい、また、よい子に育てる為しつけなくてはと思いがちですが、こどもが出来ることはこどもがする、または一緒に行い、伝えたい事は、大人がやって見せる。日常のあいさつや人に優しくする行為でも大人がすれば赤ちゃんでさえよく見ているのです。幼児は今はしなくても大人の姿から学びます。
こどもは遠い未来や過ぎさった日々は考えません。考えられないのです。こどもは「今」、今を生きているのです。こどもは受け入れられ自分の力を認められれば持てる力を発揮し前へ前へと向かっていきます。
0才児の今、1才児の今、2才3才4才5才それぞれの年令の今を大切に保育したいと考えています。
保育園では何かを決める時
1番は こどもにとってどうする事が良いか
2番は 職員にとって力を発揮しほこりを持って保育できるか
3番は 父母にとって家族としての生活がつくりあげられるか
が決めてです。
こどもの世界も大人の世界もスムーズにいく事ばかりではありません。大変な時でも困難な時でもあきらめず力を合わせれば乗り越えていかれます。
ピヨピヨ保育園は創立以来「一歩前進、二歩後退」「1人の百歩より百人の一歩」の精神でゆっくりじっくりすすんできました。こども達にもゆっくりじっくりすすむ事、一人ではなく仲間と共にすすむ事、生きる事を伝えたい思っています。
2014.9.3
(ピヨピヨ保育園の毎月のおしらせ9月号より転載)
大人のまちあるき
鎌倉を舞台にした話題のテレビドラマシリーズは完結しましたが、実際の鎌倉の暮らしはあじさいの季節から海水浴のそれへと淡々と移ろってゆく今日このごろです。
さて本格的な暑さがやってくる前に、ひと・まち・鎌倉ネットワークが4回目の大人のまちあるきを開催します。毎回10組以上が参加する人気のイベントです。今回は小町〜雪ノ下エリアを再訪します。ではコースを紹介します。
まずは滑川に向かい、清流にかかる紅い橋とその橋詰めに建つ2軒の日本家屋が醸す古都の風情を味わいます。この住宅は今年度の景観まちづくり賞に選定されています。
つづいて路地に分け入り、建て主塾の島津前塾長の自邸や別邸を、本人のレクチャーを交えて紹介します。鎌倉移住の極意についてお話しがうかがえます。
そして路地をすすみ鞍馬天狗の作者である大佛次郎の別邸を訪問し、庭を眺めながら茅葺き屋根の下のお座敷でお茶を一服。
休憩後の後半はお好みコースを選んでいただき街の魅力を見つけるまち探検。
最後は古民家を改装したギャラリーで、みなさんが撮影した写真を見くらべながら鎌倉の暮らしについてお話しします。
ぜひこの機会に鎌倉移住のイメージを描いてみてください。
日時:2014年7月13日(日) 10時~13時
エリア:小町・雪ノ下エリア (大佛茶房でひとやすみあります)
持ち物:デジタルカメラ
最少開催人数:4名(定員:10名)
参加費:無料 (お茶・軽食代別途)
申し込み:氏名・連絡先・参加希望日を
takabatake.a.aa@m.titech.ac.jp
までお送りください。
折り返しご連絡いたします。
自炊してみました
図書館から借りている本の期限がとっくにすぎて、返却の催促メールがきたりするけどまだ読み終わっていないということ、よくありますね。たいてい催促を無視して読み終わってから返すことになるのですが、2ヶ月以上期限をすぎている場合など、読まずに返すこともあります。今回はざっと目を通したところ資料として手元に置いておきたいと思った本があり、購入しようとして奥付を見たらどうやら自費出版で絶版になっている模様。そこでスキャンして画像データにして保存することにしました。いわゆる自炊です。スキャナはときどき使いますが、本一冊をまるまるスキャンしたことはなかったので、どのくらい時間がかかるかやってみないとわかりません。約300ページある本ですが、30分もあればできるだろうとおもって始めました。
ドライバソフトの設定をして見開きごとにスキャンしていきました。本を開いて機器にのせ、ボタンを押して画像を取り込んで保存し、次のページを開いて・・・・・・。この1サイクルに約1分かかります。最初の設定段階でモタモタしたこともあり、半分ほどすんだところでおよそ2時間たっていました。帰宅の時間になったので初日はそこで終了。
2日後、朝一で作業再開。設定を少し変えると1サイクルにかかる時間を半減できることがわかり、仕事はサクサクすすみました。40分くらいで裏表紙まで終わったので、念のため取り込んだ最後のページを確認してみると、ページの画像が半分くらい枠からはみ出しているではないですか。設定を変えたときに何かまちがったようです。やれやれ、しょうがないのでやりなおし。今度は最初の一枚を取り込んですぐにチェックして作業再再開。ところが最後までやって裏表紙を確認してみるとまたはみだしてる!チェックしたのに!見直すと後半の1/4位からそうなっていて、どうやら作業途中でパソコンをいじったときになぜか設定が狂ったらしい。しばし休憩を取って冷静になって、作業を再再再開。三たび完了して裏表紙を確認したときにはまた2時間以上たっていました。つごう4時間以上。自炊って、慣れないと手間がかかるなあ。やっぱ外食が楽だー。
すまいの相談会開催
2014年4月27日の「住まいの相談会2014春」は終了しました。
次回は2014秋の予定です。
設計した住宅がリロケーションに
今日もどこかでタウニスト
都市計画家や建築家などまちづくりの専門家ではないけど、住民や商店主やお役人や学校の先生など、その町に住んでいたり働いていたり、あるいは何か縁があったりする人たちで、その町の町並みや自然を大切にしたくて、そのために活動をする人のことを指すいい言葉がみあたらない。だから勝手にそういう人を何と呼ぶか考えた。たとえば「Townist(タウニスト)」と呼ぶのはどうだろう。道のゴミを拾ったり落書きを消したりする人、子どもたちとまち歩きをして町並みの魅力を伝える人、花を植えたり生垣や庭木を美しく整える人、その町らしい佇まいのお店をやっている人、お祭りを盛り上げたりイベントを開いたりしてみんなを仲良くしてくれる人、みんなタウニスト。
鎌倉にはそんなタウニストたちがたくさんいます。仲間たちで活動しているグループもあります。今日もどこかでタウニスト 。