そなえる鎌倉

私の参加しているまちづくり団体「ひと・まち・鎌倉ネットワーク」で今年の春から準備してきた連続シンポジウムがいよいよ来月から始まります。名付けて「そなえる鎌倉」。何にそなえるのかというと、もちろん大地震と津波です。詳細は同名のフェイスブックのサイトをご覧ください。ここではポイントだけ紹介します。まずはチラシをご覧ください。タイトルバックの空撮写真は鎌倉市からお借りしました。旧鎌倉地域から江ノ島までの沿岸部が写っています。また緑に覆われた丘陵もよくわかります。津波警報が出たらこの丘陵まで逃げればいいのです。でも言うは易く行うは難しで、もし観光客が大勢いる休日に警報が出たら車は渋滞、路地は迷路、右往左往する観光客に行く手をふさがれてお年寄りも立ち往生してしまうかも知れない。そこで、↓


↓どの道を行けばそこから最短で丘陵の避難場所にたどり着けるかという最適ルートとその時間を明示できるのが「逃げ地図」です。地区シンポジウムの第一回目はその逃げ地図の仕組みと作製ノウハウを学ぶワークショップを行います。
丘陵に避難して命が助かったら、次は生活の再建です。ショックから立ち直るのに時間がかかるでしょうが、できるだけ早く動き始めることがその後の成果にものを言うようです。そこで災害が来る前にあらかじめ生活再建の道筋をみんなで話し合っておきましょう。地区シンポジウムの二回目は再建計画のマニュアルをつくる方法を学びます。
ところで、先日藤沢の海岸に「津波避難タワー」が神奈川県によって建設されました。浜にいる人がそこに上って津波をやりすごすための工作物ですが、たった数メートルの高さに数十人しか乗れないサイズです。津波が迫る状況下では「蜘蛛の糸」さながらの阿鼻叫喚の地獄絵になるかもしれません。性能的にも期待できないのですが、なにより困るのはその見た目です。鉄骨むきだしのでっかい物干台か立体駐車場のようで、見た目のことは全く考慮されていません。海辺の景観など命に換えられないだろう、という担当者のいいわけが聞こえてきそうな設計です。いや、あきらめてはいけません。鎌倉は観光都市として生きるまちです。多くの市民と観光客の避難を助け、かつ、景観資源となるような美しい避難施設をそなえるべきなのです。そんなことできるの?それが地区シンポジウム第三回のテーマです。
第四回目は市民シンポジウムと銘打って、300人くらい入る大きな会場で各地区シンポの講師陣によるパネルディスカッションを開きます。また、会場からの発言も採り上げたいと思います。どうぞみなさま、ふるってご参加ください。

 

小学生と川探検

毎年夏になると、鎌倉市内の小学生といっしょに川探検に行きます。今年は御成小学校の4年生と、大刀洗川に行きました。4年生には川の学習があり、川の生き物や流域の地勢などを学ぶようです。ここ数年、第二小学校、第一小学校、御成小学校の4年生と川に入っています。今年は大刀洗川の生き物探しと川のはじまり探しの2つのテーマを持って行きました。鎌倉駅からバスで15分ほど、朝比奈切り通しに近い森の中に今回の活動場所を設定しました。ここは人工的な護岸がなく、自然の川の景観が残っています。そして10分くらいさかのぼると、川のはじまりの地点があるのです。
まず、川の生き物探しをしました。最初に「大きな声で騒ぐと生き物が逃げてしまうよ」と言っておいても、こどもたちは川に入ると当然大喜びで「あっ、なんかいた!」「どこどこ?」「カニだ—!」「きゃー!」と大騒ぎ。小さな魚やサワガニ、ヤゴ、アメンボ、ゲンゴロウの仲間などが見つかりました。一応、学習なので水質検査もします。スポイト型の検査キットに川の水を入れて、試薬の色が変わるのを観察しました。
30分ほど川で遊んだあと、生き物を川に返して、川のはじまりを探しに行きました。朝比奈切り通しにつづく山道の脇にせせらぎがあるのですが、登るにつれてだんだん細くなり、ついに消えてしまいました。その付近を探すといくつかの岩のすき間からポタポタとしずくが落ちています。このしずくが大刀洗川の源流で、しばらく下ると滑川と合流し、由比ガ浜海岸で海に注ぐのです。
源流から河口まで、自分たちの町の中で見ることが出来る鎌倉のこどもたちは幸せです。大人になってもその体験は忘れないでしょう。そして自然や景観を大切に考えるひとになってくれると思います。