ちょうちんの黄色いあかり

今週末は事務所のある材木座地区のおまつりです。材木座の五所神社の参道には提灯が掲げられていて、夕刻には灯りがともされ、おまつりへの期待感をいやがおうでも高めてくれます。提灯の黄色い光の列は見る人を非日常性へといざなう華やいだ雰囲気があります。昔はろうそくが光源だったわけですから、もっとほの暗くゆらめく炎が神域の妖しさを演出していたでしょう。それが電球に替わってだいぶ明るくなったわけですが、それでも電球の黄色い光には炎の記憶を呼び覚ますものがあります。
しかし、いま鎌倉中で進められている防犯灯や街路灯のLED化は、そんな炎の記憶は過去の遺物とでも言うかのように、真っ白い突き刺すような光で夜の街を照らしつつあります。確かに電気代が安くなり、交換の手間がなくなります。しかしLED照明は目に入るとまぶしい上に影が濃くて明暗のコントラストがきつく、照らしていないところにあるものはかえってよく見えません。
電球の光を見るとなぜかほっとするのは私だけではないでしょう。いつか炎の記憶とつながるちょうちんのような街路灯に替えてくれないかな。

海老名の田んぼ

毎週本厚木の大学に電車で通っています。小田急線に乗っていて海老名駅を過ぎると線路の両側に少しばかり水田が見えます。かつては広々した田園だったのでしょうが、いまでは住宅や商業施設などの建物に囲まれてしまい、たいした収穫量があるわけでもなさそうだし、近い将来には都市化されて田んぼはなくなってしまいそうです。
4月のある日、海老名の郊外に用事で出かけた際、酒蔵と書いた看板の前を通りかかりました。1軒の農家くらいの小さな屋敷でいちど通り過ぎたのですが、気になって引き返してみると庭に幟が立っていたので思い切って門を入ってみました。しぼりに使うとおぼしき布ぶくろが中庭に干されています。 蔵を改造した直売所があったので土産に一本買って帰りました。聞いたことのないブランドだったのであまり期待していなかったのですが、その日の晩酌に開けてみたらそのうまかったこと。甘口を買ったのですが、はじめとろっとこくがあってのみくちがよいけどべたべたしてなくて米の味が感じられ後味はすっきりしている。神奈川県にこんなうまい酒を造っているところがあるなんて。調べてみるとこの酒蔵、海老名市内とその近郊の水田で栽培された酒造米でさけづくりをしているとのこと。しかもほぼ無農薬。自らも栽培を行っているらしい。もしかしたら電車から見えるあの田んぼの米もここでお酒になっているのかも。いづみ橋酒造、無農薬の水田に舞う赤トンボのラベルが目印です。