景観か、人命か。

景観か、人命か、という議論が盛んです。
津波が予測された場合に、遠くの高台まで逃げられないひとが一時避難できる建物として
以前から鎌倉市をはじめ海沿いの市町村では津波避難建物を指定していました。ですが、従来の津波予測がもとになっているので、最新の予測による津波には高さが不十分です。茅ヶ崎市や平塚市など湘南の市町村では今後津波避難建物を大規模に整備してゆくようです。
3.11以来鎌倉でも、海の近くに高いマンションやビルを建設しよう、そのために景観の観点から建物高さを制限している条例を改正しよう、という意見が市民から出ています。

一方で、高さ制限を変更すれば海沿いは高層マンションが屏風のように建ち並んで、せっかく守ってきた景観が損なわれてしまう、という反対意見も当然あります。
両者の妥協点は、景観条例の中に例外規定をもうけ、「公共施設で景観に配慮したデザインを持ち周辺住民の同意を得た計画」に関しては高さ制限を超えても良いとする、といったあたりでしょうか。しかしそれで全員が高いビルに避難できるわけではないので、基本は高台への避難を前提として防災計画を作り、お年寄りなどの災害弱者対策としてこの津波避難ビルをつくるというのが現実的だと思います。また、こうした例外規定は運用が難しいので策定には綿密な検討が必要でしょう。