11/12/13

THE BANKは由比ガ浜にあるバーです。
しょっちゅう店の前を通っているのですが、なかなか利用する機会がありません。数年前に一度だけここでビールを飲んだことがあります。昭和2年に建てられた銀行の建物で、中に当時の出納カウンタが残っていました。外観はY字の道に挟まれた二等辺三角形で頂点に入口があります。小さな建物ですが、銀行建築らしく古典主義的な装飾が施されており、格式が感じられます。特に、帯状に建物を巻くモールディングと付け柱上端の柱頭が特徴的です。でもよく見るとその細部のデザインは様式には則っていなくて、建築家のオリジナルのようです。アール・デコの影響かも知れません。鎌倉には洋館と呼ばれる戦前の洋風建築がいくつか残っていますが、いわゆる古典主義様式の建築は今やこれだけではないでしょうか。古典主義は公共建築のための様式ですが、鎌倉の洋館はほとんど住宅建築なのでチューダー様式とかコロニアル様式など洋風住宅の系統が多いのです。
実は最近、鎌倉近辺の古い名建築を雑誌で紹介する仕事を手伝った際、ぜひともこの建物を紹介したくて外観の写真は撮ったのですが、時間が早くて中に入れなかったので、もう一度トライしてみたいと思っています。
ところで、このあいだ図書館で借りたチャンドラーの小説を読んで、探偵のマーロウが事務所を構えているのはロサンゼルスだということを知りました。葉山にあるマーロウというプリン屋さんの看板には帽子とコートのボギー風の男の絵が描いてありますが、あの格好ではロスでは目立ってしょうがない。汗だくになってしまう。どこからあのイメージが来てるのだろう。
なぜマーロウの話かというと、その小説ではバーで飲むあるカクテルがキーになっているのです。だからこんどTHE BANKに行ったらそれを頼むつもりなんです。
今日は’11.12.13。