足の下に埋まっているもの

鎌倉文学館が催した「カマクラから創る」という鎌倉在住作家らによるシンポジウムを聴きにいってきました。お目当ては柳美里さんです。柳さんは昨年来twitterでときどき、観光客でごったがえす鎌倉に大津波が襲った場合の被害の心配をつぶやいていて、それを見て以来、ちょっと注目しています。もちろん今日のシンポジウムは災害がテーマではないので津波の話はありませんでしたが、パネラーの作家さんたちがそれぞれの鎌倉への思いを語っていて楽しめました。
柳さんは祖父ゆずりのマラソンランナーであることは良く知られていて、鎌倉の町をいつも走っているそうですが、鎌倉の印象について問われ、こう答えていました。
「化粧坂を走ることがあるのですが、あの辺りは夜は真っ暗なんですね。ひとりで走っていると、自分の息遣いに、だれか別の人の息遣いが重なってくるような感じがすることがあるんですよ。(中略)鎌倉は長い歴史の時間が足の下に埋まっている気がしています。」
それはつまり霊的なものを感じるということのようですが、別のパネラーも同じような霊的体験を話していました。
そういえばシンポジウムに行く前に材木座に友人が建てた住宅を訪問したのですが、その住宅の手前に材木座から小坪に抜ける小さなトンネルがあるのが目に入りました。通称「おばけトンネル」です(タクシーのフロントグラスにザンバラ髪の侍が・・・・・・)。ほかにも鎌倉には侍のおばけスポットがたくさんあるようです。
歴史ある町だからこそそうしたエピソードが語れらるのであって、これも鎌倉の持つ魅力のひとつと言えるのかもしれませんね。