建築やまち並みの模型をつくる際、発泡スチロールを材料にすることがあります。設計中の建物のイメージをおおざっぱに模型化するときや、積み木のように並べてミニチュアの街をつくったりするときに、手軽に使える材料です。発泡スチロールは柔らかいのですが、カッターでは以外ときれいに切れません。つぶつぶでできているので、切るときにポロポロと欠けてしまうのです。そこでよく使うのが熱線カッターです。ぴんと張ったニクロム線に電気を通して熱くして、そこにスチロールをあてがうと、溶けながらすーっと切れます。針金で雪を切る感じですかね。このなめらかな「溶切感」はちょっと気持ちよくて、建築学科の学生などの隠れた楽しみです。
先日、新しい地盤改良の現場を見学しました。軟弱地盤の敷地の土を発泡スチロールと入れ替える工法です。建物の建つエリアに浅い穴を掘って、真新しい真っ白な発泡スチロールを並べていました。建物がだいたい四角だから畳サイズの発泡スチロールを縦横に並べているのですが、最後の端のほうは寸法を合わせるためにカットしなければなりません。そこで使っていたのが、やはり熱線カッターでした。ニクロム線にトランスをかませて電気を通していましたが、材料が大きいので二人がかりです。江戸時代の二人で引くのこぎりみたいに左右に分かれてニクロム線を引っ張っていました。すーっと切っている瞬間の写真ですが、やっぱりちょっと気持ちよさそうです。