フライフィッシングの練習をしているのではありません。長い棒の先についているのは釣り糸ではなく見晴らしをさぐるための仕掛けです。じつはスマホを先端に固定して、2階にいる人の目線で見える眺めを動画で撮影しているのです。自撮り棒ならぬ「地撮り棒」です。
土地探しを進めていた堤さんから電話が来ました。決めたい物件があるということでした。探し始めてから2ヶ月ほどの間、堤さんご夫婦は休日ごとに売り出し物件を見て回っていました。先週も一緒にいくつかの物件を見に行き、不動産会社に話を聞きにも行きましたが、もっとじっくり探したいといった様子でしたので、突然の電話にちょっと意外な感じがしました。じつはその土地は前回のブログで触れた開発中のエリアにある物件です。近隣住民が未知数だからという理由でパスした土地でしたが、そのあとやっぱり見てみようと現地に行ったとのことです。確かに宅地造成中の開発地ですが第1期として販売中の東南角の区画が気に入ったようです。電話をもらったあと私も見に行き、写真のような仕掛けで2階からの眺めを確認したというわけです。エリアの端部に位置しているうえ宅盤が道路よりかなり高いので人通りが気にならないこと、南西側隣地が低い斜面林で緑が豊かなことが堤さんご夫婦のいい評価を得たようです。
眺望も悪くなかったのですが、林の木々によって冬場は午後の日差しが遮られることが明らかなため、堤さんはもう少し日当りのいい隣の区画も候補にしていました。でもそちらは最終的に周りを隣家に囲まれることになるのでプライバシーの確保に問題がありそうです。結局、日当りの良さよりも落ち着いた暮らしを取って、最初に気に入った角の敷地に決めました。
いくつも土地を見て回るうちに、最初に考えていた条件の優先順位が修正されていくこともあり、また現地を見たときに感じるフィーリングも大きな決定要因になります。げにうすろき、というやつでしょうか。人との出会いと同じように土地との出会いに縁を感じることもあるかも知れません。
そんなわけで堤さんたちは予想していたよりも早く敷地を決定し、家づくりの最初のハードルをこえたのです。